Have A Nice Day アラスカ編

アラスカ日記。(2023年1月)

18.旅をする木

日付:1/18(水)

※日本時間:1/19(木)

場所:フェアバンクス(アメリカ)

天気:曇り

気温:最高-19°/最低-24°


旅をする木


”ぼくたちが毎日を生きている同じ瞬間、もうひとつの時間が、確実に、ゆったりと流れている。日々の暮らしの中で、心の片隅にそのことを意識できるかどうか、それは、天と地ほど大きい”
旅をする木星野道夫(1999). 文藝春秋】〜より


星野道夫さんの影響で、アラスカに興味を持った人は多いのではないか。
僕もその一人である。

星野道夫は学生の頃から北方の自然に憧れを抱いていた。19歳のある日、古書店で出会った海外の写真集「ALASKA(ナショナル・ジオグラフィックソサエティ刊)」に掲載されたエスキモーの村「シシュマレフ」の航空写真に強く魅せられ、住所も分からない村の村長宛に手紙を書く。半年後に届いた返事をきっかけにアラスカに渡り、念願の「シシュマレフ村」でひと夏を過ごす。この村での経験が後に写真家の道を選び、アラスカへ渡ることにつながった。(星野道夫HPより)』

僕は星野さんの写真を見て、アラスカに対する憧れが更に強くなった。
去年は横浜で開催された写真展にも行った。

旅をする木」は星野さんがアラスカで実際に体験した話が日記のように綴られている。

この本の中で個人的に印象深いのが、星野さんと友人の編集者が、アラスカの海でザトウクジラの群れに出会った後にその友人が語った言葉。

「東京での仕事は忙しかったけれど、本当に(アラスカに)行って良かった。何が良かったって?それはね、私が東京であわただしく働いている時、その同じ瞬間、もしかするとアラスカの海でクジラが飛び上がっているかもしれない、それを知ったこと・・・」

自分が日本で仕事に追われていたあの日のあの瞬間も、ここアラスカの海ではクジラの群れが水しぶきを上げながら、飛び上がっていたかもしれない。

読んでいる人が今、何をしているかわからない。

通勤中なのか、寝る前なのか。

何気ない生活の中にある"今この瞬間”、ここアラスカの海ではクジラが飛び上がっているかもしれない。

もっとも、これはアラスカのクジラに限った事だけではない。
サバンナでライオンが雄叫びをあげ、南極でペンギンが泳ぎ、南国でカラフルな鳥が空高く飛び上がったかもしれない。

地球上のどこかでは太陽が昇り、一日が始まり、どこかでは太陽が沈み、一日が終わる。

同じ瞬間に地球上ではさまざまな事が起きている。

あわただしく仕事に追われ、過ぎていった時間の裏には、同じ世界でゆったりと時が流れる、そんな時間もある。

今回アラスカに来たことで、この先仕事や何かに追われた時には、ふと、アラスカのクジラを思い出すのかな。

そうすると心に余裕が生まれる気がする。

このクジラ(サバンナのライオン、南極のペンギン、カラフルな鳥など)を自分の中に増やしていく事こそ、僕が日本を出て海外に行く理由なのかもしれない。

※ここまでクジラ、クジラ言ってますが、今回はクジラ見てません。冬なので見れません。笑

ちなみに星野道夫さんは、僕が今住んでいる千葉県市川市生まれで、市川市の名誉市民です。
本当にたまたまですが、アラスカに惹かれたのも何かの縁かもしれません。

ということで、贅沢にアラスカで「旅をする木」読みます。これもやりたかったことの一つです。

旅をする木」を持ってアラスカを旅してると、星野道夫さんと一緒に旅をしている気分になります。

最後に。
この内容のブログを書くにあたり、星野道夫事務所さんに問い合わせたところ、快く使用承諾をいただきました。

今フェアバンクス空港にいますが、星野さんもここを訪れたと考えたら不思議な気分です。

自分と同じようにアラスカに憧れた僕を応援してくれてるような気がします。
それぐらい良い事続きの旅になってます。

星野道夫事務所HP
https://www.michio-hoshino.com

今日はここで終わります。

"短い一生で 心魅かれることに多くは出合わない もし見つけたら大切に…大切に…"
星野道夫(Michio Hoshino)